たべ・けんぞうさん 牛舎8号常設展にいってきました

01/28/2011

●牛舎8号さんのレポートは、こちら
●カフェ&ギャラリーあずきさんのレポートは、こちら。

2011年1月23日、御宿別荘滞在中に、大原在住の、
日本画家の浅野陽さんと、和綴じ製本家の浅野哲示さんと3人で、
鶏卵牧場内にある牛舎8号というギャラリーに遊びに行ってきました。

そこで、たべ・けんぞうさんの作品が、とても面白く、興味深かったので、
別レポートとして、ご紹介させていただきます。

こちらが牛舎8号。昨年11月にOPENしたばかりだそうです。

これ見て、何?!もう、釘付けです~!
ピカピカ光って、ところどころ回ったり動いたり、音楽が鳴ったり、
とても不思議なたたずまい!

ちょうど、作者のたべ・けんぞうさんがいらっしゃったので
少しお話し伺ってきました。

この手をつないでいる人間達は、ぐるぐる高速で回っていました!

たべさんは、バイクの部品や、水道の蛇口など、
捨てられて、利用価値の無くなった、いろいろな廃品、鉄くずなどを使って、
このような新しい作品を作っているのだそうです。

これらは、「STAR DUST」という名前のオブジェで、とてもユニークで面白く、
見ていると、様々な表情、景色に見え、魅入ってしまう、考えさせられます。

もう、要らないと、捨てられて、使われない、
振り向かれることも無い物が集まり、ひとつの流れ、組み立ての中で、
補い合い、支えあい、助け合い、互いの存在をよりどころとしながら、
全体の調和を保つ個々の幹として確立しあう、無我の境地みたいです。

さて、たべさんの作品は、これだけではありません。
向かいのスペースに常設展示されている
「ORANGE OPERATION(オレンジ・オペレーション)」
を案内されて拝見しました。

絶句です・・・。こちらの作品は、
「ある美しい朝、そいつは突然襲いかかった」
というサブタイトルが付いています。
そう、原爆が落ちた瞬間を表現した作品です。

たべさんは、幼い時に広島に引越し、
原爆が落ちたという事実は、大きくなってから知ったそうです。

作家活動をするために上京、絵の勉強をしていたところ、、
広島に育ったのに、なぜ原爆のことを作品で語らないのか、
と言われたことをきっかけに、造形作家へと再出発したそうです。

1973年、広島市の原爆ドーム前で、キノコ雲を再現。
川に映像を流し、最後は小さく分けてひとりひとりに渡したので、
今は消滅、無いのだそうです。一瞬、「見たかったな~」と思いましたが、
今は残っていない、無くなったということ、そのものに意味があるのでしょう。

1982年、東京銀座の81美術館で、この「オレンジ・オペレーション」を発表。

そこにいるのは、奥さんと、お子さんと、若かりし頃のたべさん。
家族が、瞬時に原爆に飲み込まれ、吹き飛び、
消え去りゆくであろう、まさにその瞬間です。

中に入っても良いですよと言われましたが、
おいそれと簡単に入ることはできませんでした。
自分が住んでいる日本に落ちた原爆のこと。授業や本やテレビや映画では
見て聞いて学んできましたが、世代交代も進み、
どこか遠い昔のことのように、なっているのも事実であり、
日本が被爆している、という歴史は紛れも無い事実であり。。

日本は、唯一の被爆国である、ということの現実、事実は
時間がどんなに経過しても、消えることはありません。
そして、風化させてはならない、忘れてはならないことだということを
日本人である自分自身が、再認識させられた瞬間でもありました。

この「オレンジ・オペレーション」は、1995年、
広島市現代美術館での被爆50周年記念展「ヒロシマ以後」
でも公開され評判になったそうです。
その後、時を経て、今、この作品が、
この牛舎8号さんの展示スペースで再現、蘇ることとなりました。

時計の時刻は、原爆が落ちた時間なんです、と、たべさん。
この部屋では、その時間で時が止まっています。
じっと見れば見るほど、胸がきゅっとなります。
どうして、人間は、こんなことしちゃたんだろう。
なんと、取り返しのつかないことを、してしまったのだろう。
どうして、人は、人を困らせたり、傷つけたり、足を引っ張ったり、
人の命を危めてまで、自分の思い通りにしようとするのだろう。

もしかして、これは未来に起こることかもしれないってことですか?
と後ろで誰かが質問してましたが、そうなってはならないと強く思います。

だからこそ、私達は、いつも頭の片隅に置いて忘れることなく、
被爆した方々の受けた痛み、苦しみ、傷、流した涙や悲しさ、辛さを
二度と繰り返さないよう、平和であるという「今」を、
「心配要らないよ」と旅立っていった沢山の先祖である命のひとつひとつ、
皆々様に、贈り届けることができるよう、務めなければならないと感じました。

再び、牛舎8号の建物内に戻り、茶の間コーナーで炬燵に暖まりながら
テレビで、たべさんの紹介番組などを拝見しました。

パンフレットや、新聞によると、たべさんは、1939年山口県生まれ。
15年前に、横浜市からいすみ市に移住。
奥様は、絵本作家の木倶知(きくち)のりこさん。
2010年には、市原市水と彫刻の丘美術館で、
たべ・けんぞう展が開催されました。そのテレビ番組も拝見しました。

この後姿、バイクに乗った新地球人が、次の行くべき場所、
進むべきステージへと、出発する姿のようにも見えます。

映画では、未来人が過去に戻って、過去を変えて、
今の自分達の為に、自分達の未来を変えようとする物語などもあります。
実際、そのようなことが、あるのかないのかは、
皆様のご想像にお任せするとして。

過去は過去として消えることなく。
過去の積み重ねが「今」「現在」であり、
「今」「現在」の「思い」や「行動」の蓄積、積み重ねが
全ての「明日」「未来」となるのだと、わたしは思います。

今の自分が、明日の自分の背中を押すのです。

きっと、この先も、あらゆる様々な「選択の場」が私達を訪ねてくるでしょう。
そのたびに、私たちは、自分の意思(意志)と判断で、
「取捨選択」をしていきます。

世界のあちこちで規模の大小はあれど、ありとあらゆる「争い」があります。
大きなことも、小さなことも、日常的なことも、
わからない、想像のつかないことも。

でも、恐れることは無いのだと思います。迷うことも、悩むことも、
過ぎ去ったことも、過ちも、全て大いに限りなく受け入れて、
ただただ、ひたすらに、精一杯命尽きるその時まで、懸命に生きてゆくのが、
「人間」なのかなあと、わたしは思います。

牛舎8号さんに遊びに行ったら、たべ・けんぞうさんの作品に出会いました。
動いたり音が鳴ったり光ったりして不思議なオブジェが手招きしています。
綺麗な音楽が流れていました。楽しげで寂しげで目が離せませんでした。
私達は、いったい、何処へ行こうとしているのでしょうか。

向かいには、「オレンジ・オペレーション」というオレンジの部屋があって
忘れている自分が射抜かれて痛かったです。
どちらも、たべ・けんぞうさんの作品です。
どちらも、私達が、今、この日本で、現実に、肌で感じている
「日本」を表す断片であり象徴であり、どんなに形を変えても
それは、紛れも無い、「真実」なんだと思います。

この先、どんなことがあっても、どんなふうになっても、
恐れることなく、恥じることなく、堂々と、
「日本に生まれて生きていること」に誇りを持って生きていきたいと思います。
ひたむきに、やわらかく、みんなが生きようと笑顔になることが
日本の将来の力になると思うから。

たべ・けんぞうさん、短い時間でしたが、お話し伺えて嬉しかったです!
どうもありがとうございました☆

皆さんも、ぜひ、牛舎8号さんで常設展示している、
たべ・けんぞうさんの作品、ご鑑賞なさってください!


おんじゅくフロンティア・マーケット 牛舎8号
千葉県夷隅郡御宿町実谷437 鶏卵牧場
0470-68-2631
http://www.farmr-o.sakura.ne.jp/

┗ 1月 28, 2011 |


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